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マンションをリフォームされる直接的な理由は様々でしょう。「お気に入りのインテリア」「最先端の設備機器」「使い勝手のよい間取りや収納」とイメージは広がります。いずれにしろ、「住み心地のいい家にしたい」と願われる事はまちがい無いところだと思います。

私たちはその「住み心地」にとって最も普遍的な事柄であるにもかかわらず、今までのマンションリフォームではほとんど省みられることのなかったところに注目している会社です。「いくら暖房しても足元が寒い、底冷えする」「冷房が効かない」「となりの音が気になる」「下のお宅に音が響いて迷惑をかけていないか?」「結露で、カビが心配」「ペットのにおいが心配」「排水給水管って何年くらいもつもの?」。こういったことは、実は目に見えないところ、下地やインフラの作り方に大きくかかわっています。

私たちはこういった住み心地の普遍的な部分にかかわることがらを「空間の性能」と呼んでいます。目に見えないところが大切とはいっても、構造強度にまで責任を持てというのはどうかとは思いますが、インフィルの下地はとっても大切です。
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マンションはコンクリートという巨大な蓄熱体でできています。このコンクリートの持ち味を最大限に生かしてゆくには外断熱工法がよいことはよいのですが、これからリフォームしようかというマンションで外断熱というのはまずありません。外断熱のマンションに改修するというのは共用部工事となりますし、現実性から考えてもほぼないでしょう。

またそのマンションの建築当時の、床や天井構造に対する設計の考え方の違い、ひいてはスラブ厚や配管の設計や施工の考え方、当時使用されていた材料にも違いがあります。
さらに同じマンションであっても、その住戸が最上階なのか、最下階なのか、中間階なのか角部屋なのか、日当たりはどうか、向きは?など、置かれている環境は実に様々です。

コンクリートに囲まれていることを前提として、その個別性を踏まえて、私たちは専用部の内側に戸建注文住宅を新築するという考え方を創りました。「できるかぎり躯体の性能に依存しない」でインフィルを独立させて空間性能を作りたいという主旨です。各住戸をブルゴーニュのワイン畑にみたて、それらが、シトー派の修道院時代からクリマやクリュという考え方できめ細かく細分化され区分管理されてきたことにならって「クリマ・デザイン」と命名しました。ソリューションは専用部単位で必要な空間性能を必要な住戸に提供する、それはコストを考えた極めてリーズナブルなことであると考えています。
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「住設機器が古くなってきたのでその交換のついでに・・・」というリフォームを考えていませんか?住設機器というのは便利さを買うわけでこれはどんどん新しいものが登場し、住関連の中ではもっとも寿命の短い物です。寿命でいくとインフィル関連がその次、そしてスケルトンといわれる躯体の寿命があります。スケルトンの寿命は税法上は50年となっていますが、実寿命はもっともっとあります。その辺の話しはさておき、ここまでのご説明でおわかりいただけたと思いますが、そもそも寿命の違う物ですから「インフィルをさわるついでに機器を交換する」ということはあっても「機器交換のついでにインフィルをさわる」ということはありえません。「機器の交換は機器の交換に撤する」「インフィルをさわるならきちんとさわる」「中途半端はやめる」これが失敗しないリフォームの鉄則とお考えください。当然インフィルをさわる時にはきちんと考えられた性能をもったインフィルのさわり方をしてください。
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先ほど「機器交換のついでに」というリフォームはないと申し上げましたが、一旦よく考えられたインフィル・システムを入れてしまうと、機器交換のついでに間取りを変えるということは実はありえます。

話がすこし飛んでしまいますが、「資産価値」という言葉があります。そのマンションに自分で住んでいるなら資産価値は低いほうが良いはずです、何故かというと、固定資産税が上がるだけだから。不動産の資産価値というのは「貸していくら」のものと考えてください。これは自分が住む話ではなく、すでにビジネスの話です。ビジネスの世界では資産はコストです。税金がかかるだけですから。その資産を使ってビジネスをしよう収益をあげようと考えたときにそれは初めて経営資源となります。ところが、その資産がそのまま経営資源になるということはなく、その目的にかなうように投資をする必要がでてきます。これを資源化のコストと呼びます。同じ場所にあって、同じ広さのマンションであっても「貸せる価格」というのは実は間取りによって違います。とすれば当然、高く貸せる間取りにしたいと思うはずです。そして高くかせる間取りに変えるコストが資源化コストということになります。よく考えられたインフィル・システムにしておくとその資源化のための追加コストが低いということがいえるわけです。

国策として良質のストック形成ということが言われ、必ず「可変性」ということが盛り込まれてはいますがなんだか添え物程度の扱いです。永住派にはライフステージへの追従のための追加コスト、住み替え派には資源化のため(誰だかわからないけれども借りる人のライフスタイルへの追従のため)の追加コストとして考えれば、マンション所有による資産価値形成というのは建築的には「可変性」にその本質があると考えてよいと思っています。蛇足ではありますが、マンションを買うときには、「貸すことになるかもしれない」と考えておくことは大切なことです。
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そうはいうものの、インフィルをフル・スケルトンでやるとなると相当お金がかかります。実際のところインフィルだけだと、今でも大工さんがそれなりにやってしまっているわけですから、それなりに案外高い費用がかかっています。

私たちのシステムは現場の腕に依存していたものを工業化することにより、品質のばらつきを無くそうというのがそもそもの原点で、それにできるかぎりのインテリジェンスを加味して統合的なシステムに仕立ててきたものですから、付加される性能を除けば高くなってしまうということはありません。が、やはり、設備も同時にということになるのでそれなりの出費にはなってしまいます。とすると、「分割」するということを考えたくなるでしょう。できるかぎり「分割」しないほうが結果としてはコスト面では絶対にいいにはいいのですが、分けるのならば分け方はあると思います。

まず、インフラを最先端の設計と材料を使って、この先30年は大丈夫という状態にして、そのあと空間を整えるという順序と分け方が一番合理的だろうと思います。そのときに、次のインフィルへの配慮をどのくらいしておくかということが重要です。部材には勝ち負けの設計というのがあって、これがシステム全体の性能や耐久性・交換性を決めて行くので、それらの整合性を考えた上で分けてゆくことになります。中途半端がよくない理由です。
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その壁に大型のワイドテレビは自由に吊れますか?吊り家具を取付けできますか?そんな壁に耐震用の家具金物を取り付けて本当に大丈夫ですか?万が一、家具が動き出したときに、あるいは、何かが飛んできたときに、その間仕切り壁はきちんと受け止めてくれますか?

その床は本当にきちんと遮音してくれていますか?妙にフワフワしていませんか?立ち仕事をしていると疲れが膝にきたりしませんか?お年寄りが転んだときにちゃんと衝撃を吸収してくれますか?
インフラ・システムとしての統合的な性能も大切にしていますが、ひとつひとつの構成部位の性能にもこだわっています。
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